2011年02月09日
【コラム】MC51復活作戦!
本日、長らく眠らせていた電動ガンを復活させてみることにした。
わたしが人生ではじめて買った電動ガン、MC51だ。
購入したのは確か……中学生の頃だったろうか。まだ「18歳以下はエアガン所持禁止!」なんていう条例が、影も形もなかった頃の話だ。
MC51を購入後、落とし玉やわずかなおこづかいを貰うたびに、やりくりしながら固定ストックを買い、スプリングやシリンダーを入れ替え、細々と組み換えを楽しみながら使い続けてきた。
軽く取り回しやすく、多弾装で、当時「最強のゲームウエポン」と呼ばれていたMCは、最高の相棒だった。
ハイサイクルのG3SASが純正品で手に入る今では、信じられないことかもしれないが……。
けれど、いつしか本格的なサバイバルゲームをやるようになって、お金にも余裕ができて、新しい銃を次々買っていくうちに、MCの出番はどんどん減っていった。
やがてMCは部屋の片隅に眠っているか、さもなければ貸し出してしまうかで、自分で使うことはほとんどなくなってしまった……。
今回、現役復帰を目指して整備するのは、そんなMC51だ。
現在は、ウグイス隊長からもらったSG-1のフロントを組み込み、ロングバレル化したフルサイズG3になっている。
しかし、ロングバレル化したと言っても、中身はMCのまま。ショートバレル用の加速シリンダーではエア量が足りなかろうし、各部にも相当ガタが来ているだろう。
ためしに試射をしてみると、強めのホップをかければなんとか50メートルは飛ぶものの、弾に勢いがなく、着弾も散り気味だ。
当面の目標は、フルサイズのバレル長で1J近い初速と、ホップの安定化と言うことになるだろう。

あくまで目標は現役復帰なので、必要最低限のパーツを使って、箱だし新品のSG-1と同程度の性能まで持っていければ十分だ。
まずは、カスタムパーツの選定から始めることにする。
まず欲しいのは、加速スリットのないフルシリンダーだ。MCのショートバレルでは最適だった加速シリンダーも、500mm近いSG-1のバレルに合わせるにはエア量不足だからだ。
次に、長年の使用によってヘタっているであろう部分を考える。
まずはスプリング。一番負担がかかるパーツだ。とっくにヘタって、パワー低下の一因になっていることは間違いない。
そしてホップパッキン。磨耗しやすいゴムパーツ、それも、ちょっとした磨耗が性能に大きく影響するホップパッキンは、新調しておくに越したことはない。
スプリングは、初速調整を兼ねてライラクスのM90スプリング、ホップパッキンは、同じくライラクスのエアシールチャンバーパッキンのソフトを選択した。
チャンバーパッキンにエアシールを選んだのは、ホップを押すための虫ゴムが付属していたためだ。長年の使用で、ホップパッキンだけでなく虫ゴムも磨耗している可能性があったため、一緒に取り替えてしまいたかったのだ。
さて、こうしてカスタムパーツを選んでいると、ちょっと欲も出てくる。ノーマルよりもちょっとよくしたい。なんて思ってしまう。
そこで、ファーストのストライクチャンバーG3を組み込んでみることにした。M16用ストライクチャンバーが、かなり良い製品だと聞いていたからだ。
もともとホップの設計が良いG3に使って、効果があるかは分からないが、ものは試しだ。
パーツが到着したので、早速組んでみる。
G3の分解は慣れたものだ。さっさとメカボックスを取り出し、開ける。
数年間メンテナンスをしていなかった割には、メカボックス内は綺麗なものだった。
目立った汚れはグリスの黒ずみと、シリンダー内に付着した土などの細かなゴミくらいだ。
手早く掃除して、グリスアップする。基本的に、プラやゴムパーツにはシリコングリス、金属パーツにはモリブテングリスとオーソドックスな選択だが、シリンダー周辺には、マルイ製の高粘度グリスをたっぷりと塗布した。
気密がほしい部分には、とりあえずマルイの高粘度グリス使っとけ! と言うのがわたしの持論だ。
現在メインウエポンで使っているドラグノフは、シリンダーの気密が低いため、塗るグリスの種類によって初速も弾道もがらりと変わってしまう。
さまざまなグリスを試してみたが、もっとも高初速かつ優れた弾道安定性を発揮したのは、高粘度グリスを塗ったときだった。
たとえばシリコングリスと高粘度グリスでは、ドラグノフの初速が0.1J近くも違ったのだ。
そんなことがあって以来、わたしはシリンダー周りには必ず高粘度グリスを使う。
もっとも、ドラグノフと違ってMCは電動ガン。ピストンの往復回数がドラグノフの比じゃないので、負担になりすぎないよう、抵抗のでかいグリスは塗りすぎないよう注意する必要があるのだが。
組みなおす前に、加速シリンダーをフルシリンダーに、スプリングを新しいものに交換しておく。
下がり気味だった初速が、これで何とかなればいいのだが。

さて、ギアを収めてメカボックスを閉めようとすると、なかなか上手く入らない。よく見てみると、逆回転防止ラッチが上手くはまり込んでいなかった。
ほかのギアパーツは、きちんとガタツキなくはまり込むものだが、逆回転防止ラッチは構造上、どうしても浮き気味になってしまう。
メカボックスが上手くしまらないときは、ここをチェックしてみるといいだろう。ラッチの軸を、精密ドライバー等で外側からつついてやると、すんなりとはまってくれる。
あとは、タペットプレートがきちんとノズルと噛んでいるかも確認しておく。組みあげて一見ちゃんと動いていても、ノズルが動いていないせいで給弾が上手くいかないことがある。試射せずにゲームに持っていってから、それに気づいたりすると最悪だ。
……というのは、ウグイス隊長の実際の失敗談から学んでいるわけだが。
メカボックスが組みあがったら、次はチャンバーだ。
チャンバー一式を抜き取り、バレルを抜き取ってみると、ホップパッキンが案の定劣化しきっていた。半ば千切れている。

ホップパッキンを替える時には、新しいパッキンをぬるま湯で暖めて柔らかくしておくといい。硬いまま組み込んでゆがみが発生すると、せっかくのパッキンが台無しだ。
その後、パッキンの外側にシリコンオイルをたっぷりと吹き付ける。こうすることで、チャンバーに組み入れるとき、引っかからずに済むからだ。
抵抗の必要なゴムパーツに、オイルをつけまくるのには抵抗があるかもしれない。だが、抵抗の多いパーツだからこそ、組みつけの際に潤滑剤は不可欠だ。
まずはパッキンをオイルでべたべたにする気持ちで組み付けて、組み終わってから、いらないオイルを拭いて落とすくらいがちょうどいいだろう。

さらにストライクチャンバーを組み付けて、チャンバー周りも完成だ。

早速、野外で試射を行ってみた。
弾の伸びは素晴らしく、飛距離も目に見えて上がっている。
整備前は、山なりの弾道を描きながら50メートル付近で落ちていたのが、整備後は、50メートル付近までまっすぐ飛び、そこから浮き上がって山なりの弾道を描く感じだ。確実に一歩分飛距離が伸びている。
しかし……問題もある。
前述の、少し浮くような山なりのホップは、ホップ最低時のものだ。最低ホップが適正ホップでは、調整の幅がない。
どうも、パッキンのせいか、ストライクチャンバーのせいか、あるいはパーツ同士の相性か、ホップが強めになってしまっているようだ。
確かに、射程距離ぎりぎりの遠距離を狙うならば、今のホップセッティングで十分だ。
けれど状況によっては、飛距離は落ちてもまっすぐ飛んで欲しい場面もある。そういった時、弱ホップに切り替えられないのはちょっと使いづらい。
次のゲームは27日……それまでに、調整の幅があるセッティングを模索してみたい。
かつての相棒が、今の相棒へと返り咲いてくれるように、じっくり整備してやろうと思う。
おまけ。
G3のマガジンを入れるに当たって、AK用の81式弾帯を詰めてみた。

不要な部分を折り返して縫い付けただけだが、表から見た分には綺麗にできたように思う。

次のゲームに投入して、強度や使用感を確かめてみるつもりだ。
わたしが人生ではじめて買った電動ガン、MC51だ。
購入したのは確か……中学生の頃だったろうか。まだ「18歳以下はエアガン所持禁止!」なんていう条例が、影も形もなかった頃の話だ。
MC51を購入後、落とし玉やわずかなおこづかいを貰うたびに、やりくりしながら固定ストックを買い、スプリングやシリンダーを入れ替え、細々と組み換えを楽しみながら使い続けてきた。
軽く取り回しやすく、多弾装で、当時「最強のゲームウエポン」と呼ばれていたMCは、最高の相棒だった。
ハイサイクルのG3SASが純正品で手に入る今では、信じられないことかもしれないが……。
けれど、いつしか本格的なサバイバルゲームをやるようになって、お金にも余裕ができて、新しい銃を次々買っていくうちに、MCの出番はどんどん減っていった。
やがてMCは部屋の片隅に眠っているか、さもなければ貸し出してしまうかで、自分で使うことはほとんどなくなってしまった……。
今回、現役復帰を目指して整備するのは、そんなMC51だ。
現在は、ウグイス隊長からもらったSG-1のフロントを組み込み、ロングバレル化したフルサイズG3になっている。
しかし、ロングバレル化したと言っても、中身はMCのまま。ショートバレル用の加速シリンダーではエア量が足りなかろうし、各部にも相当ガタが来ているだろう。
ためしに試射をしてみると、強めのホップをかければなんとか50メートルは飛ぶものの、弾に勢いがなく、着弾も散り気味だ。
当面の目標は、フルサイズのバレル長で1J近い初速と、ホップの安定化と言うことになるだろう。

あくまで目標は現役復帰なので、必要最低限のパーツを使って、箱だし新品のSG-1と同程度の性能まで持っていければ十分だ。
まずは、カスタムパーツの選定から始めることにする。
まず欲しいのは、加速スリットのないフルシリンダーだ。MCのショートバレルでは最適だった加速シリンダーも、500mm近いSG-1のバレルに合わせるにはエア量不足だからだ。
次に、長年の使用によってヘタっているであろう部分を考える。
まずはスプリング。一番負担がかかるパーツだ。とっくにヘタって、パワー低下の一因になっていることは間違いない。
そしてホップパッキン。磨耗しやすいゴムパーツ、それも、ちょっとした磨耗が性能に大きく影響するホップパッキンは、新調しておくに越したことはない。
スプリングは、初速調整を兼ねてライラクスのM90スプリング、ホップパッキンは、同じくライラクスのエアシールチャンバーパッキンのソフトを選択した。
チャンバーパッキンにエアシールを選んだのは、ホップを押すための虫ゴムが付属していたためだ。長年の使用で、ホップパッキンだけでなく虫ゴムも磨耗している可能性があったため、一緒に取り替えてしまいたかったのだ。
さて、こうしてカスタムパーツを選んでいると、ちょっと欲も出てくる。ノーマルよりもちょっとよくしたい。なんて思ってしまう。
そこで、ファーストのストライクチャンバーG3を組み込んでみることにした。M16用ストライクチャンバーが、かなり良い製品だと聞いていたからだ。
もともとホップの設計が良いG3に使って、効果があるかは分からないが、ものは試しだ。
パーツが到着したので、早速組んでみる。
G3の分解は慣れたものだ。さっさとメカボックスを取り出し、開ける。
数年間メンテナンスをしていなかった割には、メカボックス内は綺麗なものだった。
目立った汚れはグリスの黒ずみと、シリンダー内に付着した土などの細かなゴミくらいだ。
手早く掃除して、グリスアップする。基本的に、プラやゴムパーツにはシリコングリス、金属パーツにはモリブテングリスとオーソドックスな選択だが、シリンダー周辺には、マルイ製の高粘度グリスをたっぷりと塗布した。
気密がほしい部分には、とりあえずマルイの高粘度グリス使っとけ! と言うのがわたしの持論だ。
現在メインウエポンで使っているドラグノフは、シリンダーの気密が低いため、塗るグリスの種類によって初速も弾道もがらりと変わってしまう。
さまざまなグリスを試してみたが、もっとも高初速かつ優れた弾道安定性を発揮したのは、高粘度グリスを塗ったときだった。
たとえばシリコングリスと高粘度グリスでは、ドラグノフの初速が0.1J近くも違ったのだ。
そんなことがあって以来、わたしはシリンダー周りには必ず高粘度グリスを使う。
もっとも、ドラグノフと違ってMCは電動ガン。ピストンの往復回数がドラグノフの比じゃないので、負担になりすぎないよう、抵抗のでかいグリスは塗りすぎないよう注意する必要があるのだが。
組みなおす前に、加速シリンダーをフルシリンダーに、スプリングを新しいものに交換しておく。
下がり気味だった初速が、これで何とかなればいいのだが。

さて、ギアを収めてメカボックスを閉めようとすると、なかなか上手く入らない。よく見てみると、逆回転防止ラッチが上手くはまり込んでいなかった。
ほかのギアパーツは、きちんとガタツキなくはまり込むものだが、逆回転防止ラッチは構造上、どうしても浮き気味になってしまう。
メカボックスが上手くしまらないときは、ここをチェックしてみるといいだろう。ラッチの軸を、精密ドライバー等で外側からつついてやると、すんなりとはまってくれる。
あとは、タペットプレートがきちんとノズルと噛んでいるかも確認しておく。組みあげて一見ちゃんと動いていても、ノズルが動いていないせいで給弾が上手くいかないことがある。試射せずにゲームに持っていってから、それに気づいたりすると最悪だ。
……というのは、ウグイス隊長の実際の失敗談から学んでいるわけだが。
メカボックスが組みあがったら、次はチャンバーだ。
チャンバー一式を抜き取り、バレルを抜き取ってみると、ホップパッキンが案の定劣化しきっていた。半ば千切れている。

ホップパッキンを替える時には、新しいパッキンをぬるま湯で暖めて柔らかくしておくといい。硬いまま組み込んでゆがみが発生すると、せっかくのパッキンが台無しだ。
その後、パッキンの外側にシリコンオイルをたっぷりと吹き付ける。こうすることで、チャンバーに組み入れるとき、引っかからずに済むからだ。
抵抗の必要なゴムパーツに、オイルをつけまくるのには抵抗があるかもしれない。だが、抵抗の多いパーツだからこそ、組みつけの際に潤滑剤は不可欠だ。
まずはパッキンをオイルでべたべたにする気持ちで組み付けて、組み終わってから、いらないオイルを拭いて落とすくらいがちょうどいいだろう。

さらにストライクチャンバーを組み付けて、チャンバー周りも完成だ。

早速、野外で試射を行ってみた。
弾の伸びは素晴らしく、飛距離も目に見えて上がっている。
整備前は、山なりの弾道を描きながら50メートル付近で落ちていたのが、整備後は、50メートル付近までまっすぐ飛び、そこから浮き上がって山なりの弾道を描く感じだ。確実に一歩分飛距離が伸びている。
しかし……問題もある。
前述の、少し浮くような山なりのホップは、ホップ最低時のものだ。最低ホップが適正ホップでは、調整の幅がない。
どうも、パッキンのせいか、ストライクチャンバーのせいか、あるいはパーツ同士の相性か、ホップが強めになってしまっているようだ。
確かに、射程距離ぎりぎりの遠距離を狙うならば、今のホップセッティングで十分だ。
けれど状況によっては、飛距離は落ちてもまっすぐ飛んで欲しい場面もある。そういった時、弱ホップに切り替えられないのはちょっと使いづらい。
次のゲームは27日……それまでに、調整の幅があるセッティングを模索してみたい。
かつての相棒が、今の相棒へと返り咲いてくれるように、じっくり整備してやろうと思う。
おまけ。
G3のマガジンを入れるに当たって、AK用の81式弾帯を詰めてみた。

不要な部分を折り返して縫い付けただけだが、表から見た分には綺麗にできたように思う。

次のゲームに投入して、強度や使用感を確かめてみるつもりだ。
2011年01月18日
1月の定例ゲーム
――第六ゲームは、始まりから銃撃戦だった。

スタートコールと同時に、俺は駆けだした。
俺のダッシュに発破をかけられ、身軽なアタッカーが二人続く。
ありがたい。俺の片足は以前事故で痛めていて、思うように動かないのだ。本格的なアタックをするのに、味方の存在は欠かせない。
フィールドの半ばまで駆け、そろそろ足を止めようかと思った矢先、突然正面から銃撃された。
俺と二人の仲間は、応射しながら木の陰に飛び込む。
向こうのチームも進軍が早い……。
前線の陣取り合戦は、五分五分と言ったところだった。

前線までついてきてくれたのは、皮ジャンを着たライフルマンと、フリースを着てMP7を持った身軽なアタッカーだった。
俺は味方の戦力を確認した後、銃を擦るほどを身をかがめて、敵の様子をうかがった。
ブッシュに身を隠した影が見える。
――二人だ。
距離は100mほどあるだろうか。向こうの銃撃も届かないが、こちらの弾も届かない。
「数の上ではこちら有利だが……」
真っ向から打ち合えば、勝てるだろう。だが、それではこちらの被害も必至だ。出会いがしらの撃ち合いで、こちらの居場所も割れている。
居場所が割れている……なら、それを利用するのも手、か?
「なあ、あいつらの側面まで回りこめるか?」
聞くと、二人は事もなげに頷いた。
頼もしい限りだ。
皮ジャンとフリースの二人が、足音をひそめてブッシュをまたいでいく。

二人の足音を背中に聞きながら、俺は敵に向かってライフルをぶっぱなした。
届かないことは分かっている。だが、俺がここで派手に撃つ限り、敵の注意はこちらへ向き続ける。二人が連中の側面を突くまでの間、ここで俺が一人三役を演じるわけだ。
多弾装マグが空っぽになるまで、トリガーを引き続けた。発射音が虚しい破裂音に変わり、地面に伏せてマグチェンジする頃には、奇襲部隊の足音はずっと遠ざかっていた。
あとは、二人の奇襲が成功することを祈るだけだ。
地面に伏せ、前方の敵を見失わないようにしながら、じっと息をひそめる。

味方の足音はもう聞こえなくなり、耳に痛いほどの静寂が、辺りに満ちていた。
小さく身じろぎすると、腹の下で枯れ葉が鳴った。気持ちを落ち着かせるために深く吸った息が、辺りに響いた。相手に聞こえてやしないだろうか、不安だ。
今、もし前方の二人が突撃してきたら、とてもじゃないが防ぎきれない。
こちらにまだ三人いるだろうと、敵が警戒しているうちは、そんな無茶はしないだろうが……。
緊張にせっつかれるように、時折トリガーを引いて、仲間の存在をアピールした。命がけの一人三役だ。
肌をぴりぴりさせるほどの緊張の中では、時間感覚など容易に狂う。
奇襲部隊が回り込んでから、もう数時間も経っている気がした。未だ、敵の側面を銃弾が襲う気配はない。
突然、敵が一人飛び出した。

俺は慌てて狙いを定め、トリガーを引いた。倒せないまでも、すぐ近くのブッシュに釘づけにする。
奇襲部隊が追い立てたのか?
危険を覚悟で頭を上げる。100mほど先のブッシュには、敵が二人、相変わらずじっと身をひそめていた。すぐ近くのブッシュには、さっき釘づけた敵が一人……。
俺は慌てて伏せた。なんてこった。
さっき飛び出したのは新手だ!
これで、向こうの人数は三人。連中がまだ、俺のところに三人固まっていると思っていたとしても、戦力はイーブンになった。
実際に攻め込まれたら、三対一だ。勝てるはずがない。
退くか?
いいや。奇襲部隊は、俺がここにいることを期待して敵を追い立てるのだ。もし俺がここから離れれば、奇襲部隊は敵陣のど真ん中に取り残されることになる。
なら、一か八かの突撃?
いいや。それは最悪だ。俺が早々にやられ、奇襲部隊も囲まれてやられる。前線部隊は全滅だ。攻めを失ったチームに勝機はない。
――がさっ。
背後の茂みが動いた。反射的に、俺は銃口を後ろへ向ける。
茂みを掻きわけて現れたそいつは、ギリースーツの袖の中で親しげに片手をあげた。
味方だ!
前線の戦況を心配して、後衛がひとり、こっちに加わってくれたのだ。
援軍の手に下げられているのは、大口径のスコープを乗せ、サイレンサーを装備したAR。射程の長そうなやつだ。
これなら、前方のブッシュに釘づけにした敵を叩ける。

ARの、くぐもった発射音が響いた。前方の敵が追い立てられ、ブッシュから飛び出して退いて行く。
だが、逃げる敵の背中は、ここから丸見えだ。
俺は慎重に狙いを定め、トリガーを引いた。外すはずのない状況。
――だが。
がちっ。
トリガーに妙な抵抗があった。不穏な音が響いただけで、弾は発射されない。
「クソッ!」
トリガーの接点不良だ。何度トリガーを引いても、異音が響くばかりで弾が発射される気配はない。そのうちに、ARの射撃を逃れた敵がブッシュの向こうに消えていく。
ARの射撃音が、諦めたように止んだ。ARの射程で追えなくなった敵を、俺のライフルで追えるはずがない。
「マジかよ……」
恨みがましくライフルを叩くと、快音と共に弾が発射された。
手遅れも甚だしい。
先ほどの銃撃戦で、前方の敵は全員引いていた。一応進路は開けたようだ。

奇襲部隊との合流もしなければならないから、不安は残るが進むしかない。
ギリースーツが、俺の銃の不調を気遣って先導してくれた。
やがて近くの茂みが揺れて、奇襲部隊の二人が姿を現した。さっきの撃ち合いに間に合わなかったのは残念だが、生き残って合流してくれただけでも心強い。
敵の支配地域を進む危険な状況だが、心強い仲間たちとカバーしあうと、不安は格段に減った。さっきまで息をひそめていた分、揚々と進める足取りは軽い。
先導するのは奇襲部隊の二人、皮ジャンとフリースだ。射程の長いARを持ったギリースーツは、俺と一緒に後方を行く。
ふと、皮ジャンが素早く銃を持ち上げ、数発撃った。
「ヒット!」
声が上がる。さっき、俺の銃の不調で逃げられた敵だ。
さらに、フリースもスタンディングで素早く撃つ。
「ヒット!」
また声が上がった。さっき進路をふさいでいた二人のうち一人だ。
敵は、さっきの撤退で散り散りになったらしい。こちらが四人で各個撃破に回れば、敵に打つ手はない。
敵の脅威が薄れて、俺たちの足取りはより軽くなった。その後は大した戦闘もないまま、相手のフラッグが見える位置まで進軍することができた。
「そろそろ敵の防衛ラインだな……」
俺は、先導する二人に制止をかけた。
皮ジャンとフリースは足を止めて、中腰になって周囲をうかがう。敵影はなさそうだ。
俺も顔を上げて進路を見たが、50mほど先の小高い丘を越えれば、その先はすぐにフラッグだ。身を隠すブッシュも申し分ない。
こちらはまだ四人いる。多少の伏兵を覚悟したとしても、全員で駆ければフラッグは取れる……か?
今までの順調すぎる足取りが、軽はずみな判断を下させたことは否めない。
「もう少し、進んでみよう」
先導する二人が頷き、頭をあげた。
――瞬間。
「ヒット!」
戸惑うような声と共に、フリースが両手をあげた。
敵だ。しかし、どこから?
皮ジャンの動きは早かった。フリースの傍らからぱっと離れて、高台へ上る。フリースを撃った敵を見つけようと、皮ジャンは高台から目を凝らした。
俺は皮ジャンを注視した。方向さえ見定めてくれれば、俺とギリースーツで何とかできる。
――しかし。
「ヒット!」
索敵を終えるより先に、皮ジャンが声をあげた。
やはり、発射音は聞こえない。敵の姿も見えない。
だが、皮ジャンの肩で跳ねた白い弾が、一瞬目の端に映った。
弾筋から、発射された方向を予測する。
「あの丘……か?」
フラッグを守るには、たしかに都合のいい場所だ。
しかし、丘からこちらまでは50m近くある。エアガンの射程ぎりぎりの距離だ。
それも、発射音が聞こえないことを考えると、おそらく単発で撃ってきている。
射程ぎりぎりから、マンターゲットに必中させてくる敵。

あの丘には、腕のいい狙撃手が潜んでいる……。
俺はギリースーツに指示して、そっと後ろへ下がった。
幸い、後衛の俺たちはスナイパーの射程外にいる。スナイパーの射角外に隠れて、俺とギリースーツは顔を見合わせた。
「向こうにスナイパーがいる。二人やられた」
俺が言うと、ギリースーツは頷いた。
「オレ、つっこみましょうか?」
ギリースーツが言った。確かに相手がスナイパーだけならば、一人が援護しながらもう一人が突っ込めば、フラッグを取ることができるだろう。あれだけ腕のいい狙撃手だ。後衛を一人で任されている可能性も十分にある。
なにより、ここで立ち止まっていてもジリ貧になるばかりだ。敵はどんどん集まってくるし、こちらのチームのフラッグだって今まさに狙われているかも知れない。
「よし、突っ込もう」
「わかりました」
ギリースーツが頷いた。俺はそれを手で制して、ライフルを地面に置いた。
「突っ込むのは、俺だ。こいつじゃまともに援護もできない」
フラッグを取るだけならば、銃の不調は関係ない。痛めた足でどこまで走れるかは分からないが、さっき敵を取り逃がした分くらいは、ここで取り返しておきたいじゃないか。
「援護は頼んだ」
ギリースーツは頷いた。心強いことだ。
なんせ、奴のARは射程が長い。
一度深呼吸して、身軽な身体で飛び出した。背後で響く、ARのくぐもった音に背を押されるように、俺は駆けた。
狙撃手のいる丘の前を駆け抜ける。背後で、弾が唸った気がしたが、定かじゃない。はっきりと分かるのは、俺の身体に当たらなかったということだけ。
フラッグがぐんぐん近づく。伏兵がいる様子はない。
足がもつれて、あごが上がる。だが、フラッグはもう目の前だ。
手を伸ばす。勝利に向かって。
あと三歩。
あと二歩。
あと……一歩!
――衝撃は、側面から襲ってきた。
厚いBDU越しでも痛いほどの威力を保ったBB弾が、フルオートで浴びせかけられる。
俺は、フラッグを、勝利を掴みかけた両手を、高々と空にあげた。
「ヒットォ!」
俺を倒した伏兵が、フラッグすぐ脇のブッシュから立ち上がる。

こんなに近くにいたというのに、立ちあがるまでどこに隠れていたかすら分からなかった。ここまで完璧にアンブッシュされたんじゃあ、俺に続いてヒットされたギリースーツのことを責めるわけにはいかないだろう。
結果は、全滅でうちのチームの負け。
至近距離から撃たれた腕が、まだ少し痛んだ。全く、待てる強さってやつを、文字どおり痛感させられたゲームだったな。
…………
祝! ガンカメラ導入記念!
ということで、長々とお付き合いありがとうございます。そしてあけましておめでとうございます。
Laiceです。
去る1月8日、SPFフィールドにてゲームを行いました。
今回は、ウグイス隊長とサラサ隊員を除くメンバー全員が不参加。
その代わり、20名近い新人の皆さんが集まってくださり、いつも以上ににぎやかなゲームとなったそうです!
……なったそうです、というのはほかでもない。
このわたし、Laiceも、今回のゲームには参加していないのです。
しかし今回は、すばらしい秘密兵器が導入されました!
それがガンカメラです! ライフルのレールにポン付けすることで、ゲームの様子を克明に記録することができる文明の利器!
今回は、わたし自身が現場にいなかったこともあり、リーダーのG36Cに取りつけたガンカメラの映像を元に、主観視点ふうのゲームレポートにしてみました。

視点人物・ウグイス隊長
この日は、全部で10戦やったのだそうですが、今回レポートに起こしたのは6戦目のみ。みんなの身体がいちばん暖まってきた頃の、ガンカメラの録画時間が最も長かった一戦だけをピックアップしてみました。
むろん、文章化するに当たって、多少の脚色、及び事実とは違う演出も挿入しておりますが……その辺はご了承くださいませ。
今後はこうして文章化するだけではなく、実際に動画としてアップできればいいな……なんてことも考えております。
まだまだカメラの扱いさえままならず、動画アップへの道は険しいですけれど……。
そんな感じで。
今回は主観視点ふうのレポートにしてしまったせいで、参加してくださった新人さんたちの中には描写できなかった方も多くいました。
そのため、最後にちょっとしたフォトギャラリーを入れて、今回の記事を終わらせたいと思います。
セーフティーゾーンにて



戦闘中






今回も沼の被害者が……。

文責・Laice@今回不在

スタートコールと同時に、俺は駆けだした。
俺のダッシュに発破をかけられ、身軽なアタッカーが二人続く。
ありがたい。俺の片足は以前事故で痛めていて、思うように動かないのだ。本格的なアタックをするのに、味方の存在は欠かせない。
フィールドの半ばまで駆け、そろそろ足を止めようかと思った矢先、突然正面から銃撃された。
俺と二人の仲間は、応射しながら木の陰に飛び込む。
向こうのチームも進軍が早い……。
前線の陣取り合戦は、五分五分と言ったところだった。

前線までついてきてくれたのは、皮ジャンを着たライフルマンと、フリースを着てMP7を持った身軽なアタッカーだった。
俺は味方の戦力を確認した後、銃を擦るほどを身をかがめて、敵の様子をうかがった。
ブッシュに身を隠した影が見える。
――二人だ。
距離は100mほどあるだろうか。向こうの銃撃も届かないが、こちらの弾も届かない。
「数の上ではこちら有利だが……」
真っ向から打ち合えば、勝てるだろう。だが、それではこちらの被害も必至だ。出会いがしらの撃ち合いで、こちらの居場所も割れている。
居場所が割れている……なら、それを利用するのも手、か?
「なあ、あいつらの側面まで回りこめるか?」
聞くと、二人は事もなげに頷いた。
頼もしい限りだ。
皮ジャンとフリースの二人が、足音をひそめてブッシュをまたいでいく。

二人の足音を背中に聞きながら、俺は敵に向かってライフルをぶっぱなした。
届かないことは分かっている。だが、俺がここで派手に撃つ限り、敵の注意はこちらへ向き続ける。二人が連中の側面を突くまでの間、ここで俺が一人三役を演じるわけだ。
多弾装マグが空っぽになるまで、トリガーを引き続けた。発射音が虚しい破裂音に変わり、地面に伏せてマグチェンジする頃には、奇襲部隊の足音はずっと遠ざかっていた。
あとは、二人の奇襲が成功することを祈るだけだ。
地面に伏せ、前方の敵を見失わないようにしながら、じっと息をひそめる。

味方の足音はもう聞こえなくなり、耳に痛いほどの静寂が、辺りに満ちていた。
小さく身じろぎすると、腹の下で枯れ葉が鳴った。気持ちを落ち着かせるために深く吸った息が、辺りに響いた。相手に聞こえてやしないだろうか、不安だ。
今、もし前方の二人が突撃してきたら、とてもじゃないが防ぎきれない。
こちらにまだ三人いるだろうと、敵が警戒しているうちは、そんな無茶はしないだろうが……。
緊張にせっつかれるように、時折トリガーを引いて、仲間の存在をアピールした。命がけの一人三役だ。
肌をぴりぴりさせるほどの緊張の中では、時間感覚など容易に狂う。
奇襲部隊が回り込んでから、もう数時間も経っている気がした。未だ、敵の側面を銃弾が襲う気配はない。
突然、敵が一人飛び出した。

俺は慌てて狙いを定め、トリガーを引いた。倒せないまでも、すぐ近くのブッシュに釘づけにする。
奇襲部隊が追い立てたのか?
危険を覚悟で頭を上げる。100mほど先のブッシュには、敵が二人、相変わらずじっと身をひそめていた。すぐ近くのブッシュには、さっき釘づけた敵が一人……。
俺は慌てて伏せた。なんてこった。
さっき飛び出したのは新手だ!
これで、向こうの人数は三人。連中がまだ、俺のところに三人固まっていると思っていたとしても、戦力はイーブンになった。
実際に攻め込まれたら、三対一だ。勝てるはずがない。
退くか?
いいや。奇襲部隊は、俺がここにいることを期待して敵を追い立てるのだ。もし俺がここから離れれば、奇襲部隊は敵陣のど真ん中に取り残されることになる。
なら、一か八かの突撃?
いいや。それは最悪だ。俺が早々にやられ、奇襲部隊も囲まれてやられる。前線部隊は全滅だ。攻めを失ったチームに勝機はない。
――がさっ。
背後の茂みが動いた。反射的に、俺は銃口を後ろへ向ける。
茂みを掻きわけて現れたそいつは、ギリースーツの袖の中で親しげに片手をあげた。
味方だ!
前線の戦況を心配して、後衛がひとり、こっちに加わってくれたのだ。
援軍の手に下げられているのは、大口径のスコープを乗せ、サイレンサーを装備したAR。射程の長そうなやつだ。
これなら、前方のブッシュに釘づけにした敵を叩ける。
ARの、くぐもった発射音が響いた。前方の敵が追い立てられ、ブッシュから飛び出して退いて行く。
だが、逃げる敵の背中は、ここから丸見えだ。
俺は慎重に狙いを定め、トリガーを引いた。外すはずのない状況。
――だが。
がちっ。
トリガーに妙な抵抗があった。不穏な音が響いただけで、弾は発射されない。
「クソッ!」
トリガーの接点不良だ。何度トリガーを引いても、異音が響くばかりで弾が発射される気配はない。そのうちに、ARの射撃を逃れた敵がブッシュの向こうに消えていく。
ARの射撃音が、諦めたように止んだ。ARの射程で追えなくなった敵を、俺のライフルで追えるはずがない。
「マジかよ……」
恨みがましくライフルを叩くと、快音と共に弾が発射された。
手遅れも甚だしい。
先ほどの銃撃戦で、前方の敵は全員引いていた。一応進路は開けたようだ。

奇襲部隊との合流もしなければならないから、不安は残るが進むしかない。
ギリースーツが、俺の銃の不調を気遣って先導してくれた。
やがて近くの茂みが揺れて、奇襲部隊の二人が姿を現した。さっきの撃ち合いに間に合わなかったのは残念だが、生き残って合流してくれただけでも心強い。
敵の支配地域を進む危険な状況だが、心強い仲間たちとカバーしあうと、不安は格段に減った。さっきまで息をひそめていた分、揚々と進める足取りは軽い。
先導するのは奇襲部隊の二人、皮ジャンとフリースだ。射程の長いARを持ったギリースーツは、俺と一緒に後方を行く。
ふと、皮ジャンが素早く銃を持ち上げ、数発撃った。
「ヒット!」
声が上がる。さっき、俺の銃の不調で逃げられた敵だ。
さらに、フリースもスタンディングで素早く撃つ。
「ヒット!」
また声が上がった。さっき進路をふさいでいた二人のうち一人だ。
敵は、さっきの撤退で散り散りになったらしい。こちらが四人で各個撃破に回れば、敵に打つ手はない。
敵の脅威が薄れて、俺たちの足取りはより軽くなった。その後は大した戦闘もないまま、相手のフラッグが見える位置まで進軍することができた。
「そろそろ敵の防衛ラインだな……」
俺は、先導する二人に制止をかけた。
皮ジャンとフリースは足を止めて、中腰になって周囲をうかがう。敵影はなさそうだ。
俺も顔を上げて進路を見たが、50mほど先の小高い丘を越えれば、その先はすぐにフラッグだ。身を隠すブッシュも申し分ない。
こちらはまだ四人いる。多少の伏兵を覚悟したとしても、全員で駆ければフラッグは取れる……か?
今までの順調すぎる足取りが、軽はずみな判断を下させたことは否めない。
「もう少し、進んでみよう」
先導する二人が頷き、頭をあげた。
――瞬間。
「ヒット!」
戸惑うような声と共に、フリースが両手をあげた。
敵だ。しかし、どこから?
皮ジャンの動きは早かった。フリースの傍らからぱっと離れて、高台へ上る。フリースを撃った敵を見つけようと、皮ジャンは高台から目を凝らした。
俺は皮ジャンを注視した。方向さえ見定めてくれれば、俺とギリースーツで何とかできる。
――しかし。
「ヒット!」
索敵を終えるより先に、皮ジャンが声をあげた。
やはり、発射音は聞こえない。敵の姿も見えない。
だが、皮ジャンの肩で跳ねた白い弾が、一瞬目の端に映った。
弾筋から、発射された方向を予測する。
「あの丘……か?」
フラッグを守るには、たしかに都合のいい場所だ。
しかし、丘からこちらまでは50m近くある。エアガンの射程ぎりぎりの距離だ。
それも、発射音が聞こえないことを考えると、おそらく単発で撃ってきている。
射程ぎりぎりから、マンターゲットに必中させてくる敵。
あの丘には、腕のいい狙撃手が潜んでいる……。
俺はギリースーツに指示して、そっと後ろへ下がった。
幸い、後衛の俺たちはスナイパーの射程外にいる。スナイパーの射角外に隠れて、俺とギリースーツは顔を見合わせた。
「向こうにスナイパーがいる。二人やられた」
俺が言うと、ギリースーツは頷いた。
「オレ、つっこみましょうか?」
ギリースーツが言った。確かに相手がスナイパーだけならば、一人が援護しながらもう一人が突っ込めば、フラッグを取ることができるだろう。あれだけ腕のいい狙撃手だ。後衛を一人で任されている可能性も十分にある。
なにより、ここで立ち止まっていてもジリ貧になるばかりだ。敵はどんどん集まってくるし、こちらのチームのフラッグだって今まさに狙われているかも知れない。
「よし、突っ込もう」
「わかりました」
ギリースーツが頷いた。俺はそれを手で制して、ライフルを地面に置いた。
「突っ込むのは、俺だ。こいつじゃまともに援護もできない」
フラッグを取るだけならば、銃の不調は関係ない。痛めた足でどこまで走れるかは分からないが、さっき敵を取り逃がした分くらいは、ここで取り返しておきたいじゃないか。
「援護は頼んだ」
ギリースーツは頷いた。心強いことだ。
なんせ、奴のARは射程が長い。
一度深呼吸して、身軽な身体で飛び出した。背後で響く、ARのくぐもった音に背を押されるように、俺は駆けた。
狙撃手のいる丘の前を駆け抜ける。背後で、弾が唸った気がしたが、定かじゃない。はっきりと分かるのは、俺の身体に当たらなかったということだけ。
フラッグがぐんぐん近づく。伏兵がいる様子はない。
足がもつれて、あごが上がる。だが、フラッグはもう目の前だ。
手を伸ばす。勝利に向かって。
あと三歩。
あと二歩。
あと……一歩!
――衝撃は、側面から襲ってきた。
厚いBDU越しでも痛いほどの威力を保ったBB弾が、フルオートで浴びせかけられる。
俺は、フラッグを、勝利を掴みかけた両手を、高々と空にあげた。
「ヒットォ!」
俺を倒した伏兵が、フラッグすぐ脇のブッシュから立ち上がる。
こんなに近くにいたというのに、立ちあがるまでどこに隠れていたかすら分からなかった。ここまで完璧にアンブッシュされたんじゃあ、俺に続いてヒットされたギリースーツのことを責めるわけにはいかないだろう。
結果は、全滅でうちのチームの負け。
至近距離から撃たれた腕が、まだ少し痛んだ。全く、待てる強さってやつを、文字どおり痛感させられたゲームだったな。
…………
祝! ガンカメラ導入記念!
ということで、長々とお付き合いありがとうございます。そしてあけましておめでとうございます。
Laiceです。
去る1月8日、SPFフィールドにてゲームを行いました。
今回は、ウグイス隊長とサラサ隊員を除くメンバー全員が不参加。
その代わり、20名近い新人の皆さんが集まってくださり、いつも以上ににぎやかなゲームとなったそうです!
……なったそうです、というのはほかでもない。
このわたし、Laiceも、今回のゲームには参加していないのです。
しかし今回は、すばらしい秘密兵器が導入されました!
それがガンカメラです! ライフルのレールにポン付けすることで、ゲームの様子を克明に記録することができる文明の利器!
今回は、わたし自身が現場にいなかったこともあり、リーダーのG36Cに取りつけたガンカメラの映像を元に、主観視点ふうのゲームレポートにしてみました。
視点人物・ウグイス隊長
この日は、全部で10戦やったのだそうですが、今回レポートに起こしたのは6戦目のみ。みんなの身体がいちばん暖まってきた頃の、ガンカメラの録画時間が最も長かった一戦だけをピックアップしてみました。
むろん、文章化するに当たって、多少の脚色、及び事実とは違う演出も挿入しておりますが……その辺はご了承くださいませ。
今後はこうして文章化するだけではなく、実際に動画としてアップできればいいな……なんてことも考えております。
まだまだカメラの扱いさえままならず、動画アップへの道は険しいですけれど……。
そんな感じで。
今回は主観視点ふうのレポートにしてしまったせいで、参加してくださった新人さんたちの中には描写できなかった方も多くいました。
そのため、最後にちょっとしたフォトギャラリーを入れて、今回の記事を終わらせたいと思います。
セーフティーゾーンにて
戦闘中
今回も沼の被害者が……。
文責・Laice@今回不在
2010年12月24日
コラム『ライフルの構え方について』
あわただしい年の瀬も迫ってきましたが、みなさんいかがお過ごしでしょう。
高浜銃工は、年明けに卒業を控えた学生メンバーが大忙しで、なかなかゲームが開催できない日々を送っています。
ゲームがなければ記事も書けない……と言うことで、当ブログではしばらくの間、ちょっとした雑記をあげていこうと思います。
2週間に一度ほどの更新頻度になると思いますが、皆さんに少しでも有用な情報がご提供できればと思っております。
さて、筆者は先日、愛用しているドラグノフの調整を行いました。
前回のゲームの後、一度も調整していなかったため、メンテナンスがてらに試射を行ってみたのです。
すると、前回のゲームでは素直だった弾道が、めちゃくちゃになっていました。突然浮き上がったり、そうかと思えば、ほとんどフライヤーのように手前に落ちたりします。
原因は、寒さで硬くなったホップパッキンでした。
最近のエアガンは精度が上がり、よほどのハズレを引かない限りは、箱出しでもある程度素直な弾道を描くものがほとんどです。
しかしそれでも、周囲の環境や、メンテナンス後のちょっとした組み付けミスで、弾道が乱れてしまうこともあります。
しかし、まっすぐ弾が飛ばないからと言って、銃を分解してしまう前に……ちょっと確認してください。
あなたは、ちゃんとまっすぐ銃を構えていますか?
わたしもエアガンに触り始めてすぐの頃は、まっすぐ飛ばない銃に悩まされ、何度も分解して試行錯誤してみました。
しかし弾道は一向に安定せず、そのうち組み付けミスをして、何丁もの銃を壊してしまいました。
しかし、ちゃんとした構えかたを覚えてからは「弾がまっすぐ飛ばない」と悩まされることは格段に少なくなりました。分解して壊してしまった銃のほとんどは、きちんと構えればまっすぐ飛んだはずなのです。
正しい構えができなければ、その銃がまっすぐ飛ぶのかどうか、調べることもできません。
そこで今回は銃の構え方、特にストックつきライフルの構え方を、ちょこっと解説していこうかと思っています。
①練習に使う銃について。
銃の正しい構え方を覚える上で、向いている銃、不向きな銃があります。
今回は『ライフルの構え方』なので、使用するのはストックとハンドガードのついたライフルが前提です。
ライフルはハンドガンと比べて、安定して構えるのが比較的簡単なので、初心者の方はまずストックつきのライフルで練習することをお勧めします。
金銭的な問題で、初めて買う銃がライフル……と言う方は、なかなか少ないかもしれませんが。
また、ストックつきの銃の中でも、肩に当たる部分がなるべく大きく、滑りにくい物を選んでください。
ストックがついていても、スコーピオンやMAC10などのワイヤーストックのもの、G3系のスライドストックなど、バットプレートが小さいものは、滑りやすいため避けたほうがいいです。
また、ライフルには大別して「曲銃床」と「直銃床」の2種類があります。
ストックの、肩に当たる部分(バットプレート)の頂点が、バレルの延長線と同じ高さにあるのが「直銃床」、延長線より下にあるのが「曲銃床」です。
具体的には、M16やG3などが「直銃床」、AK47やM14などが「曲銃床」ですね。
現用のライフルは、ほとんどが直銃床です。なので、直銃床に慣れてしまえば、ほとんどの銃を自在に操ることができるようになるでしょう。
しかし、曲銃床はサイトのラインがちょうど目線の位置に来るので、無理のない姿勢で構えられるという利点があります。初心者の方の場合は、曲銃床の方が扱いやすいかもしれません。
どちらにしても構え方の基本は変わりませんが、自分の銃がどちらなのか、意識して練習しておくと、上達が早いかもしれません。
②姿勢について。
射撃の際の姿勢には、大別して三種類があります。
立ったまま構える「スタンディング」
射撃からすばやく移動に移ることができる姿勢です。機動力がありますが、狙いはあまり安定しません。基本的には、ニーリングもプローンもできない状況でのみ使用します。
しゃがんだ状態で構える「ニーリング」
片ひざを立てて座り、膝を補助に使うことで、スタンディングよりも安定した狙いがつけられる姿勢です。しかし、機動力はスタンディングに劣ります。近い姿勢に、あぐらをかくように構える「シッティング」もあります。
移動の多いサバゲにおいては、もっとも多用される姿勢といえます。
腹ばいで構える「プローン」
地面に伏せるように構える姿勢です。主にスナイパーが用いる姿勢で、安定して狙いをつけられる上、相手に晒す体の面積が少なくなるため、弾にも当たりにくくなります。しかし、機動力はほぼありません。
実際の戦場では多用される姿勢ですが、サバゲでは、エアガンの射程の短さと機動力の重要性から、使う場面は限られます。
今回の解説では、スタンディングを基本にしようと思います。
ニーリングは、スタンディングの姿勢を知らなければ理解しづらいですし、プローンで構えるには、ニーリングから移行したほうが覚えやすいためです。スタンディングは基本の構えになるわけです。
ですが、スタンディングの場合、ハンドガードを支える片腕に負担がかかるため、体の小さい人や腕力に自信のない人だと、腕が疲れて構えが崩れてしまうことがあります。
ちなみに、私も腕力がないため、スタンディングは苦手です……。
腕が辛いと感じた場合は、ハンドガードを支える腕をなるべく手前に引き寄せて、意識して脇を締めてみてください。
銃が長すぎて構えづらい時には、ハンドガードではなくマガジン前部を掴むのもいいでしょう。
③構え方について。
さて、いよいよ構え方についてです。
手順を追って説明します。
1、
両足を肩幅に開いて立ち、顔を利き手とは逆の方向(右利きなら左)へ向けます。
視線の先に狙うものがある状態です。
2、
利き腕ではないほうの手で、ライフルのハンドガードを掴んで持ち上げてください。
3、
利き腕の、鎖骨と肩のつなぎ目辺りを触ってみてください。
そこにくぼみがあるはずです。この位置を覚えてください。
くぼみがよく分からないときは、肘を上げて脇を開いてからもう一度確かめてみてください。大きくくぼむ部分があるはずです。
4、
利き手を、ストックの下に添えてください。
このときなるべく、肩に当たる部分(以下バットプレート)の真下に添えるといいです。
ハンドガードを握った手を目線の位置まで持ち上げ、利き手でストックを下から押し上げる感じで、肩の位置まで持ってきます。ハンドガードを握った手を起点にして、銃を回転させるような感覚です。
バットプレートの一番下を、先ほどのくぼみに引っ掛けるようにして肩に当ててください。ストックのつま先を、くぼみに引っ掛ける感じです。くぼみにうまくかからない場合は、脇を開いてみてください。
きちんとくぼみに引っかかっているか、ストックに添えた利き手で触って確認してください。
引っかかっていることを確認したら、ハンドガードを握った手を手前に引き寄せ、銃を肩に押し付けます。
5、
利き手をストックから放してください。
まだグリップは握らず、ハンドガードを保持した手と、肩に押し付けたストックだけで銃が支えられているかを確かめてください。
利き手を放すと銃が肩からずり落ちてしまう場合は、ストックがうまくくぼみにはまっていません。
手順3からもう一度やり直してみてください。
銃が安定していたら、グリップを握ります。ただし力加減としては、握ると言うより添えると言った感覚です。
利き手の肘は肩の高さに上げ、脇は開いておきます。
6、
首を横に傾けて、サイトを覗きます。
光学サイトは使用せず、必ずアイアンサイトを使ってください。
曲銃床のライフルや、高い位置にサイトのある銃ならば、すこし首を傾けるだけでサイトを覗けますが、G3などサイトラインの低い直銃床の場合は、頬をストックにきつく押し付けなければ覗けないこともあります。
どうしても姿勢が窮屈なときは、すこし首を前に出すと楽になります。また、一部の銃にはストックにチークピースがついていますが、アイアンサイトを覗くときには邪魔になることがほとんどなので、はずしてください。
7、
フロントサイトとリアサイトをあわせ、狙いをつけてください。
サイトの形状は銃ごとに違うので、狙いのつけ方が分からなければ説明書などを読んでみましょう。
サイトをあわせる時には、必ずフロントサイトに目の焦点をあわせます。リアサイトがぼやけ、フロントサイトがくっきり見える状態です。
きちんとサイトが合ったら、その時の姿勢をきちんと覚えてください。
ぱっと構えて覗き込めば、すでにサイトが合っている。それが理想的な構え方です。練習してみてください。
まとめ
さて、今までの流れが、正しい銃の構え方です。
今回はスタンディングで説明しましたが、ニーリング、プローンでも構え方の基本は一緒です。
最後に、構えたライフルを撃つときに、銃がぶれてしまう人へ。
ライフルは一見して、ハンドガード、ストック、そしてグリップの三点で銃を支えているように見えますが、それは少し誤りです。
ライフル本体を支えているのは、ほとんどハンドガードとストックの二点だけです。ハンドガードを握った手が、ストックを肩に押し付けることで支えているのです。
もし、この「ライフルを支える力」をグリップに分散させてしまうと、射撃時に銃がぶれる原因になります。
実銃と違い、ほとんど反動の発生しないエアガンにおいて、銃がぶれる一番の原因は「トリガーを引くときの揺れ」です。
もし、ライフルを支える力がグリップに分散していると、トリガーを引いたときの揺れはダイレクトに銃に伝わり、狙いがぶれる原因になります。
なので、トリガーに触れる手は、なるべくトリガーを引く以外の仕事は何もさせないほうがいいのです。
ライフルよりハンドガンの射撃が難しいのもそのためで、トリガーを引く手で銃を保持しなくてはならない関係上、狙いがぶれやすいのです。
もし、ハンドガードとストックできちんと銃を支えられているのに、トリガーを引くときにぶれてしまうなら、トリガーがまっすぐ後ろへ引けていないのかもしれません。
その場合は、まず人差し指に触れているトリガーの位置を確認してください。
理想的なのは、指先と第一間接のちょうど真ん中にトリガーが触れていることです。この状態で、トリガーがずれないように、人差し指をまっすぐ後ろへ引いてみてください。
シアに抵抗のかかりやすいエアコッキングガンなどでは、こうしたトリガーコントロールで、銃のぶれはかなり軽減されると思います。
さあ、正しい銃の構え方が分かったら、今までまっすぐ飛ばないと思っていた銃をもう一度撃ってみましょう。
どうですか? まっすぐ飛んだでしょうか?
まっすぐ飛んでくれたなら、私もこれを書いた甲斐があるというものです。
それでもまだまっすぐ飛ばない! と言うときは……。
最寄のショップや、詳しい友達に相談してみたらどうでしょう?
ショップも詳しい友達もいない……と言うときは……。
思い切って分解してみるのも手かもしれませんね。
ネジをなくさないように気をつけてください。複雑な組み合わせの箇所は写真を撮っておきましょう。うーん、それ以上のアドバイスはできません。
だって、私が今まで壊してきた銃の数を考えると……ねぇ?
それでは、また二週間後にお会いしましょう。
さようなら。
文責@Laice
参考文献 『COMBAT BIBLE』著・上田信
高浜銃工は、年明けに卒業を控えた学生メンバーが大忙しで、なかなかゲームが開催できない日々を送っています。
ゲームがなければ記事も書けない……と言うことで、当ブログではしばらくの間、ちょっとした雑記をあげていこうと思います。
2週間に一度ほどの更新頻度になると思いますが、皆さんに少しでも有用な情報がご提供できればと思っております。
さて、筆者は先日、愛用しているドラグノフの調整を行いました。
前回のゲームの後、一度も調整していなかったため、メンテナンスがてらに試射を行ってみたのです。
すると、前回のゲームでは素直だった弾道が、めちゃくちゃになっていました。突然浮き上がったり、そうかと思えば、ほとんどフライヤーのように手前に落ちたりします。
原因は、寒さで硬くなったホップパッキンでした。
最近のエアガンは精度が上がり、よほどのハズレを引かない限りは、箱出しでもある程度素直な弾道を描くものがほとんどです。
しかしそれでも、周囲の環境や、メンテナンス後のちょっとした組み付けミスで、弾道が乱れてしまうこともあります。
しかし、まっすぐ弾が飛ばないからと言って、銃を分解してしまう前に……ちょっと確認してください。
あなたは、ちゃんとまっすぐ銃を構えていますか?
わたしもエアガンに触り始めてすぐの頃は、まっすぐ飛ばない銃に悩まされ、何度も分解して試行錯誤してみました。
しかし弾道は一向に安定せず、そのうち組み付けミスをして、何丁もの銃を壊してしまいました。
しかし、ちゃんとした構えかたを覚えてからは「弾がまっすぐ飛ばない」と悩まされることは格段に少なくなりました。分解して壊してしまった銃のほとんどは、きちんと構えればまっすぐ飛んだはずなのです。
正しい構えができなければ、その銃がまっすぐ飛ぶのかどうか、調べることもできません。
そこで今回は銃の構え方、特にストックつきライフルの構え方を、ちょこっと解説していこうかと思っています。
①練習に使う銃について。
銃の正しい構え方を覚える上で、向いている銃、不向きな銃があります。
今回は『ライフルの構え方』なので、使用するのはストックとハンドガードのついたライフルが前提です。
ライフルはハンドガンと比べて、安定して構えるのが比較的簡単なので、初心者の方はまずストックつきのライフルで練習することをお勧めします。
金銭的な問題で、初めて買う銃がライフル……と言う方は、なかなか少ないかもしれませんが。
また、ストックつきの銃の中でも、肩に当たる部分がなるべく大きく、滑りにくい物を選んでください。
ストックがついていても、スコーピオンやMAC10などのワイヤーストックのもの、G3系のスライドストックなど、バットプレートが小さいものは、滑りやすいため避けたほうがいいです。
また、ライフルには大別して「曲銃床」と「直銃床」の2種類があります。
ストックの、肩に当たる部分(バットプレート)の頂点が、バレルの延長線と同じ高さにあるのが「直銃床」、延長線より下にあるのが「曲銃床」です。
具体的には、M16やG3などが「直銃床」、AK47やM14などが「曲銃床」ですね。
現用のライフルは、ほとんどが直銃床です。なので、直銃床に慣れてしまえば、ほとんどの銃を自在に操ることができるようになるでしょう。
しかし、曲銃床はサイトのラインがちょうど目線の位置に来るので、無理のない姿勢で構えられるという利点があります。初心者の方の場合は、曲銃床の方が扱いやすいかもしれません。
どちらにしても構え方の基本は変わりませんが、自分の銃がどちらなのか、意識して練習しておくと、上達が早いかもしれません。
②姿勢について。
射撃の際の姿勢には、大別して三種類があります。
立ったまま構える「スタンディング」
射撃からすばやく移動に移ることができる姿勢です。機動力がありますが、狙いはあまり安定しません。基本的には、ニーリングもプローンもできない状況でのみ使用します。
しゃがんだ状態で構える「ニーリング」
片ひざを立てて座り、膝を補助に使うことで、スタンディングよりも安定した狙いがつけられる姿勢です。しかし、機動力はスタンディングに劣ります。近い姿勢に、あぐらをかくように構える「シッティング」もあります。
移動の多いサバゲにおいては、もっとも多用される姿勢といえます。
腹ばいで構える「プローン」
地面に伏せるように構える姿勢です。主にスナイパーが用いる姿勢で、安定して狙いをつけられる上、相手に晒す体の面積が少なくなるため、弾にも当たりにくくなります。しかし、機動力はほぼありません。
実際の戦場では多用される姿勢ですが、サバゲでは、エアガンの射程の短さと機動力の重要性から、使う場面は限られます。
今回の解説では、スタンディングを基本にしようと思います。
ニーリングは、スタンディングの姿勢を知らなければ理解しづらいですし、プローンで構えるには、ニーリングから移行したほうが覚えやすいためです。スタンディングは基本の構えになるわけです。
ですが、スタンディングの場合、ハンドガードを支える片腕に負担がかかるため、体の小さい人や腕力に自信のない人だと、腕が疲れて構えが崩れてしまうことがあります。
ちなみに、私も腕力がないため、スタンディングは苦手です……。
腕が辛いと感じた場合は、ハンドガードを支える腕をなるべく手前に引き寄せて、意識して脇を締めてみてください。
銃が長すぎて構えづらい時には、ハンドガードではなくマガジン前部を掴むのもいいでしょう。
③構え方について。
さて、いよいよ構え方についてです。
手順を追って説明します。
1、
両足を肩幅に開いて立ち、顔を利き手とは逆の方向(右利きなら左)へ向けます。
視線の先に狙うものがある状態です。
2、
利き腕ではないほうの手で、ライフルのハンドガードを掴んで持ち上げてください。
3、
利き腕の、鎖骨と肩のつなぎ目辺りを触ってみてください。
そこにくぼみがあるはずです。この位置を覚えてください。
くぼみがよく分からないときは、肘を上げて脇を開いてからもう一度確かめてみてください。大きくくぼむ部分があるはずです。
4、
利き手を、ストックの下に添えてください。
このときなるべく、肩に当たる部分(以下バットプレート)の真下に添えるといいです。
ハンドガードを握った手を目線の位置まで持ち上げ、利き手でストックを下から押し上げる感じで、肩の位置まで持ってきます。ハンドガードを握った手を起点にして、銃を回転させるような感覚です。
バットプレートの一番下を、先ほどのくぼみに引っ掛けるようにして肩に当ててください。ストックのつま先を、くぼみに引っ掛ける感じです。くぼみにうまくかからない場合は、脇を開いてみてください。
きちんとくぼみに引っかかっているか、ストックに添えた利き手で触って確認してください。
引っかかっていることを確認したら、ハンドガードを握った手を手前に引き寄せ、銃を肩に押し付けます。
5、
利き手をストックから放してください。
まだグリップは握らず、ハンドガードを保持した手と、肩に押し付けたストックだけで銃が支えられているかを確かめてください。
利き手を放すと銃が肩からずり落ちてしまう場合は、ストックがうまくくぼみにはまっていません。
手順3からもう一度やり直してみてください。
銃が安定していたら、グリップを握ります。ただし力加減としては、握ると言うより添えると言った感覚です。
利き手の肘は肩の高さに上げ、脇は開いておきます。
6、
首を横に傾けて、サイトを覗きます。
光学サイトは使用せず、必ずアイアンサイトを使ってください。
曲銃床のライフルや、高い位置にサイトのある銃ならば、すこし首を傾けるだけでサイトを覗けますが、G3などサイトラインの低い直銃床の場合は、頬をストックにきつく押し付けなければ覗けないこともあります。
どうしても姿勢が窮屈なときは、すこし首を前に出すと楽になります。また、一部の銃にはストックにチークピースがついていますが、アイアンサイトを覗くときには邪魔になることがほとんどなので、はずしてください。
7、
フロントサイトとリアサイトをあわせ、狙いをつけてください。
サイトの形状は銃ごとに違うので、狙いのつけ方が分からなければ説明書などを読んでみましょう。
サイトをあわせる時には、必ずフロントサイトに目の焦点をあわせます。リアサイトがぼやけ、フロントサイトがくっきり見える状態です。
きちんとサイトが合ったら、その時の姿勢をきちんと覚えてください。
ぱっと構えて覗き込めば、すでにサイトが合っている。それが理想的な構え方です。練習してみてください。
まとめ
さて、今までの流れが、正しい銃の構え方です。
今回はスタンディングで説明しましたが、ニーリング、プローンでも構え方の基本は一緒です。
最後に、構えたライフルを撃つときに、銃がぶれてしまう人へ。
ライフルは一見して、ハンドガード、ストック、そしてグリップの三点で銃を支えているように見えますが、それは少し誤りです。
ライフル本体を支えているのは、ほとんどハンドガードとストックの二点だけです。ハンドガードを握った手が、ストックを肩に押し付けることで支えているのです。
もし、この「ライフルを支える力」をグリップに分散させてしまうと、射撃時に銃がぶれる原因になります。
実銃と違い、ほとんど反動の発生しないエアガンにおいて、銃がぶれる一番の原因は「トリガーを引くときの揺れ」です。
もし、ライフルを支える力がグリップに分散していると、トリガーを引いたときの揺れはダイレクトに銃に伝わり、狙いがぶれる原因になります。
なので、トリガーに触れる手は、なるべくトリガーを引く以外の仕事は何もさせないほうがいいのです。
ライフルよりハンドガンの射撃が難しいのもそのためで、トリガーを引く手で銃を保持しなくてはならない関係上、狙いがぶれやすいのです。
もし、ハンドガードとストックできちんと銃を支えられているのに、トリガーを引くときにぶれてしまうなら、トリガーがまっすぐ後ろへ引けていないのかもしれません。
その場合は、まず人差し指に触れているトリガーの位置を確認してください。
理想的なのは、指先と第一間接のちょうど真ん中にトリガーが触れていることです。この状態で、トリガーがずれないように、人差し指をまっすぐ後ろへ引いてみてください。
シアに抵抗のかかりやすいエアコッキングガンなどでは、こうしたトリガーコントロールで、銃のぶれはかなり軽減されると思います。
さあ、正しい銃の構え方が分かったら、今までまっすぐ飛ばないと思っていた銃をもう一度撃ってみましょう。
どうですか? まっすぐ飛んだでしょうか?
まっすぐ飛んでくれたなら、私もこれを書いた甲斐があるというものです。
それでもまだまっすぐ飛ばない! と言うときは……。
最寄のショップや、詳しい友達に相談してみたらどうでしょう?
ショップも詳しい友達もいない……と言うときは……。
思い切って分解してみるのも手かもしれませんね。
ネジをなくさないように気をつけてください。複雑な組み合わせの箇所は写真を撮っておきましょう。うーん、それ以上のアドバイスはできません。
だって、私が今まで壊してきた銃の数を考えると……ねぇ?
それでは、また二週間後にお会いしましょう。
さようなら。
文責@Laice
参考文献 『COMBAT BIBLE』著・上田信
2010年10月27日
10月の定例ゲーム
10月23日(土)さがみ湖リゾートプレジャーにてゲームを行いました。
参加者は、高浜銃工チームでのゲーム経験者が7名と、新規参加者3名。
草木の生い茂る第1フィールドでの貸切りゲームです。
さがみ湖リゾートプレジャーの第1フィールドは、川の流れる山間を再現した、起伏に富むアウトドア・フィールド。
川沿いにまっすぐ伸びる一本道を、両サイドから急斜面が挟み込むような地形になっています。

今回は人数を5vs5に分け、一本道の両端にそれぞれのフラッグを配置しての、フラッグ争奪戦を行いました。
メインの侵攻ルートはもちろん、フィールドの中央を貫く一本道になるのですが、サイドにある高台からの射撃や、迎え撃ってくるディフェンダーとの撃ち合い等、妨害も最も激しいルートとなります。
今回も、一本道では絶え間ない銃声とヒットコールが鳴り響いていました。

攻めるも守るも激戦区。
同時に、一番ゲームを楽しめるのも、この一本道であるわけです。

そして、高台からの射撃をかわし、ディフェンダーを撃ち倒し、フラッグを目の前にしても油断は禁物。

たとえアヤシイ遮蔽物がなかったとしても、油断は禁物。
プローンでの待ち伏せは、ちょっとしたブッシュに隠れるだけでも、驚くほどの隠密性を発揮します。

両サイドにある高台にも、それぞれ特徴があります。
入り口から見て、一本道の左手側には、ごく細い川が流れているのですが、
川を挟んだ向こう側にある左手斜面は、ほとんど崖のような絶壁です。
斜面のてっぺんから垂らされたロープを伝い、木の根を足がかりにしなければ、登ることすら難しいほど。
しかし、一度のぼってしまえばその高低差から、一本道に対してほとんど一方的な攻撃が可能です。
一方、一本道からは高さとブッシュのせいで、ろくに攻撃が届きません。
味方につければこれほど心強い地形もないでしょう。

ですが、左手斜面から相手フラッグを狙うのはなかなか困難です。
急斜面と一本道を隔てる川は、ところどころ沼化していて、うかつに足を踏み入れればひざまでめり込みます。
そのままヒットされるまで身動きひとつ取れず、くたびれ損……なんてことも。

入り口から見て右手の斜面は、山と言うより小高い丘のような緩やかな地形です。
斜面の半ばには、一本道と同じくらい平坦な道が存在しているため、敵陣地へ侵攻するにはもってこい。
今回のゲームでは、攻撃要員を一本道側と右手の斜面側、二手に分けて、一方が敵を足止めしている間に、もう一方がフラッグアタック……といった戦法がよく取られました。

もちろん、ディフェンダーも二手に分かれて、斜面側の道もしっかり警戒。
一本道に次ぐ、第二の激戦区でした。

一本道と右手の斜面の間には高低差が少ないため、一本道から右手へ、右手から一本道へと、容易に攻撃を加えることが可能です。
今回のゲームでは、攻め側も守り側も、一本道にいるチームメイトと右手の斜面にいるチームメイトが、いかに連携を取っていくかが勝利の鍵でした。

しかし、中央の戦いにばかり気を取られていると、大きく回りこんだフラッグアタッカーの奇策で、いつの間にか敗北……なんてことも。
サバゲは一筋縄ではいかないですね。

今回は10人という、比較的少人数でのゲームでしたが、トラブルもケガ人もなく、気持ちのいいゲームを行うことができました。
新規参加者のみんなも、楽しんでくれたみたいです。
よかったよかった。

………
さて、高浜銃工では、来月にもゲームを予定しています。
高浜銃工では新人参加者、および対戦チームなどを随時募集しております。
神奈川県、特に平塚市周辺にお住まいの方、ご興味がおありでしたら是非コメント欄等でお知らせください。
また対戦に関しましても、コメント欄等でお知らせいただければ遠征いたします。
どうぞお気軽にお書き込みください。
参加希望者様および対戦希望者様への参考として……高浜銃工は、20代前半の大学生や社会人を中心とした、神奈川県平塚市周辺を拠点とするチームです。
詳しいチームメンバーの内訳等々は、今後このブログにて公開してゆく予定です。
ルールを守って楽しいゲームができるよう、日々活動しておりますので、高浜銃工にご興味を持っていただけたなら、ぜひご一報ください。
それでは、また次の記事にて。
文責・Laice@ドラグノフスナイパー
参加者は、高浜銃工チームでのゲーム経験者が7名と、新規参加者3名。
草木の生い茂る第1フィールドでの貸切りゲームです。
さがみ湖リゾートプレジャーの第1フィールドは、川の流れる山間を再現した、起伏に富むアウトドア・フィールド。
川沿いにまっすぐ伸びる一本道を、両サイドから急斜面が挟み込むような地形になっています。
今回は人数を5vs5に分け、一本道の両端にそれぞれのフラッグを配置しての、フラッグ争奪戦を行いました。
メインの侵攻ルートはもちろん、フィールドの中央を貫く一本道になるのですが、サイドにある高台からの射撃や、迎え撃ってくるディフェンダーとの撃ち合い等、妨害も最も激しいルートとなります。
今回も、一本道では絶え間ない銃声とヒットコールが鳴り響いていました。
攻めるも守るも激戦区。
同時に、一番ゲームを楽しめるのも、この一本道であるわけです。
そして、高台からの射撃をかわし、ディフェンダーを撃ち倒し、フラッグを目の前にしても油断は禁物。
たとえアヤシイ遮蔽物がなかったとしても、油断は禁物。
プローンでの待ち伏せは、ちょっとしたブッシュに隠れるだけでも、驚くほどの隠密性を発揮します。
両サイドにある高台にも、それぞれ特徴があります。
入り口から見て、一本道の左手側には、ごく細い川が流れているのですが、
川を挟んだ向こう側にある左手斜面は、ほとんど崖のような絶壁です。
斜面のてっぺんから垂らされたロープを伝い、木の根を足がかりにしなければ、登ることすら難しいほど。
しかし、一度のぼってしまえばその高低差から、一本道に対してほとんど一方的な攻撃が可能です。
一方、一本道からは高さとブッシュのせいで、ろくに攻撃が届きません。
味方につければこれほど心強い地形もないでしょう。
ですが、左手斜面から相手フラッグを狙うのはなかなか困難です。
急斜面と一本道を隔てる川は、ところどころ沼化していて、うかつに足を踏み入れればひざまでめり込みます。
そのままヒットされるまで身動きひとつ取れず、くたびれ損……なんてことも。
入り口から見て右手の斜面は、山と言うより小高い丘のような緩やかな地形です。
斜面の半ばには、一本道と同じくらい平坦な道が存在しているため、敵陣地へ侵攻するにはもってこい。
今回のゲームでは、攻撃要員を一本道側と右手の斜面側、二手に分けて、一方が敵を足止めしている間に、もう一方がフラッグアタック……といった戦法がよく取られました。
もちろん、ディフェンダーも二手に分かれて、斜面側の道もしっかり警戒。
一本道に次ぐ、第二の激戦区でした。
一本道と右手の斜面の間には高低差が少ないため、一本道から右手へ、右手から一本道へと、容易に攻撃を加えることが可能です。
今回のゲームでは、攻め側も守り側も、一本道にいるチームメイトと右手の斜面にいるチームメイトが、いかに連携を取っていくかが勝利の鍵でした。
しかし、中央の戦いにばかり気を取られていると、大きく回りこんだフラッグアタッカーの奇策で、いつの間にか敗北……なんてことも。
サバゲは一筋縄ではいかないですね。
今回は10人という、比較的少人数でのゲームでしたが、トラブルもケガ人もなく、気持ちのいいゲームを行うことができました。
新規参加者のみんなも、楽しんでくれたみたいです。
よかったよかった。
………
さて、高浜銃工では、来月にもゲームを予定しています。
高浜銃工では新人参加者、および対戦チームなどを随時募集しております。
神奈川県、特に平塚市周辺にお住まいの方、ご興味がおありでしたら是非コメント欄等でお知らせください。
また対戦に関しましても、コメント欄等でお知らせいただければ遠征いたします。
どうぞお気軽にお書き込みください。
参加希望者様および対戦希望者様への参考として……高浜銃工は、20代前半の大学生や社会人を中心とした、神奈川県平塚市周辺を拠点とするチームです。
詳しいチームメンバーの内訳等々は、今後このブログにて公開してゆく予定です。
ルールを守って楽しいゲームができるよう、日々活動しておりますので、高浜銃工にご興味を持っていただけたなら、ぜひご一報ください。
それでは、また次の記事にて。
文責・Laice@ドラグノフスナイパー